少し、話全体がナンセンスに聞こえるかもしれないが、私はまじめだ。いい選手だから、自分たちの誰かをマークさせて疲れさせようという考えには及ばないわけだ。例えば、ワールドカップ(W杯)ドイツ大会、フランス対ブラジルの試合はご覧になっただろうか。メンバー表には、カカ、ロナウド、ロナウジーニョ、アドリアーノ、ジュニーニョ。つまり攻撃という意味では、世界のベストプレーヤーが5人も6人もいた。その結果がどうだったか。バランスが崩れたわけだ。GKを除けば、フィールドプレーヤーは10人しかいない。1人いいプレーヤーがいて、その周りで5人の選手が走る。そうでないとチームは機能しない。それを理解しないで、ブラジルだからといって、怖がって最初から守備だけをしようとすると、彼らの思うつぼとなるだろう。日本の現実からはかけ離れた話かもしれないが、サッカーとはそういうものだ。何度も申し上げているように、(相手が)ブラジルだろうと怖がる必要はない。逆にどんな相手であろうと、軽く見てナメてもいけない。
24番もそうだし、途中から出た10番(サフルフーブ)もそうだが、彼らも、どういうふうに抑えられたか分かっているはずだ。日本の選手たち、それぞれのチームの監督たちは気をつけないといけない。監督は選手たちに、相手をリスペクトする必要はあるが怖がってはいけない、ということをもっと教えるべきだと思う。
――今後も巻には先発のチャンスを与えるか?
巻が駄目だというのか?
――駄目というわけではないが、ほかにももっといいFWがいると思うが
具体的な名前を出してくれ
――播戸
ナシとリンゴを比べて、どちらがいい果物かということか? ほかには?
――高松
巻と高松の髪の色を比べてはどうか(笑)?
――髪の色はどちらが好きか?
色の問題ではない、高松には高松のクオリティーがある。ほかの例を挙げよう。攻撃は最大の防御である。逆に、最大の防御は攻撃の中にある。巻はその点で実践している。つまり、攻撃の先頭の選手でありながらディフェンスもする。攻撃の能力という点で問題がないわけではない。しかし巻が果たす役割は、汚れ役だ。大事な役割を果たしていることを忘れてならない。相手のゴールとハーフウエーラインの間を走り回り、時にはスライディングタックルまでする。そういうFWがほかにいるだろうか? エネルギーを使っているし、非常に消耗するわけだ。消耗する中で、ボールをもらったときに、もっと集中力があれば、もっといいパフォーマンスができるだろう。
私は巻をよく知っているので、ここで巻がいいとか駄目だとか別の評価をするつもりはない。もう少し、呼ばないでおこうか、と思ったこともある。しかし結果として、今回は呼んで正解だったと思う。お願いだから、この選手とこの選手はどっちが素晴らしいか、と比べるのは控えていただきたい。
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