――これで大会が終わったが、この試合の内容を受けて、日本が変えていかなければならない課題は何か
それについては、答えの中で触れているはずだ。今日の試合の戦い方は、リスクを冒してメンバーを組んだ。今日の試合を含めて、この大会はそうであったわけだが、相手が2トップで来ても2ストッパーで対応し、その隣にサイドがいるが、事実上真ん中の2人のストッパーと、ボランチ2人のうち1人の3人で中央を守る。そういうリスクのある守備をしつつ、中盤のプレーメーカーを自由にさせる。もちろん、クオリティーの違いもあるし、相手の戦術にもよる。また、その時点で使える選手が、どんな能力を持っているかにもよるが、そういうリスクを冒しながらプレーするサッカーが、日本人には合っていると思う。そういうものを見たいと思う方には(変えるべき点は)見えると思う。
もちろん、ほかにも解決策はあるかもしれない。例えば今日、あらかじめ韓国が2トップで来ると分かっていたら、われわれは坪井を加えて3バックでスタートしたかもしれない。しかし、そうではなくて最初は1トップに2人で対応し、中盤の中央では3対3で試合が始まった。韓国のチーム力は、サウジアラビアよりはるかに上だったと思うが、2ストッパーとボランチでも大きな破たんはなかったと思う。もちろん、人間だからミスは出る。サウジアラビアに負けたが、もう一度、同じチャンスを与えた意味はそこにあった。もっとも、そのチャンスを生かせたかどうか。チャンスは3度ないかもしれない。私の故郷サラエボのことわざで「同じチャンスは2度来ない」というのがある。それを2回与えて、結果を出せなかった人間には、もうチャンスはないかもしれない。
――オーストラリアには勝ったが、サウジアラビアと韓国に敗れた。このことについて、どう思うか?
私が何と答えれば満足するだろうか?
――素直な気持ちを答えてくれれば
サッカー監督とジャーナリストとは思考回路が違う。つまりサウジアラビアに負けたことについて、あなたが考えることと、今日の敗戦、PK戦での敗戦について。2回続けて負けた、つまりカタストロフィー(破局)に陥ったという雰囲気を作ろうとしてるのであれば、そしてオシムをクビにしようというのであれば……。
――そんなつもりはない(笑)
ありがとう(笑)。
興味のある方は、日本がアジアカップで優勝した当時の映像と、今日の試合の映像とを比べてみてほしい。細かいところまで、よく比べてほしい。その分析の結果、どちらの日本代表の方がよいサッカーをしていたか、感想を言ってもらえるとうれしい。負けた、勝ったではなく、試合の内容を見てほしい。
もちろん、トルシエ、ジーコといった歴代監督、そして当時の選手に対しては敬意を持っている。しかし、どちらのサッカーが、いいサッカーをしていたか。もちろん、違う意見の方もいらっしゃるかもしれないが、私は私の考えを持っている。今日の試合は――こういう比喩(ひゆ)はひんしゅくを買うかもしれないが「2回ズボンを下ろして、見せるべきでないものを2回見せてしまった」ということになるだろう(苦笑)。
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