――けがから戻った前田が入ったが、最終的には横浜FC戦で判断したのか?
オシム 前田に関しては、彼以外の選手にはないものを持っている。個人的な考えだが、運動量が非常に多い。ほかの選手が「俺の方が走っている」と怒るかもしれないが、前田はよく走っている。個人技術が優れている。見た目は速くは見えないが、いつの間にか相手の危険な地域にいる。これまでの代表には、不足していたタイプの選手なので注意深く見ていた。
前田についてはそういう感想を持っているが、本来は個人の選手の細かいことについて話さなければならないのは、私にとっても選手にとってもよくない場合の方が多い。特に、こちらからマイナス要因を答えなければならないような質問は控えてほしい。市場で、どの野菜が新鮮なのか話しているわけではないのだから。選ばれた選手でも欠点がないわけではないし、選ばれていない選手についても(選ばれた選手とは)わずかな差でしかない。これまでの代表、Jの試合を注意深くフォローしていれば、選考の理由は見当がつくはずだ。それでもご自分で答えが見つからない人は、サッカージャーナリストをお辞めになった方がいいだろう。
――けがした闘莉王が入っているのは、今後の回復を期待してか。それとも、それ以外の要素か?
オシム 代表にもメディカルスタッフがいて、選手の状況についてケアしている。闘莉王はJリーグにとって貴重な選手。皆さんにとっても貴重ではないだろうか。記事を書くネタをいつも提供してくれている。またけがをしたとか、治ったとか。(オシムの携帯の着信音が鳴る)私のことをケアしてくれる人もいる(苦笑)。
――今回のメンバーの中では、川口、中澤、中村俊がアジアカップ連覇を経験している。彼らに期待することは?
オシム 経験が豊富だというのは、2つ意味がある。つまり、2回タイトルを取った経験がポジティブに出るか、もうタイトルはいらないか。若い選手にとっては、よいレクチャーをしてくれたり、模範になることを期待している。アジアチャンピオンとは、どういう存在か。若い選手の模範になること、自分の経験伝えること、その2つの役割がある。「タイトルはもういいんだ」という態度を取るのなら、少し考えを改めてもらわなければばらない。経験のある選手には、チームを引っ張る存在になってもらって、ほかの選手のモチベーションを高いレベルに引き上げ、また、ほかの選手を助ける役割を期待している。彼らにそういう力が残っていればだが。問題は、いいプレーができるかどうか、それが第一だ。
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