カメルーンのような強い相手と試合できることがうれしい。選手にとっても、監督にとっても、いいチャンスだと思う。アジアとは違う相手だけに、期待している。それが抱負と言えるだろう。こういう強い相手とできる機会を、本当はもっと増やしてほしいものだ。もちろん勝つのは簡単ではないが、強い相手とやってこそ、進歩していくものだ。負けるかもしれないリスクがあっても、対戦することで進歩がある。
――アジアカップの総括の中で、個の力を伸ばしていくことを挙げていたが、攻撃陣の新しいメンバーにどんなプレーを期待しているか
攻撃できるチャンスがあればいい。しかし現代のサッカーでは、攻撃のグループと守備のグループが分かれるものではなく、ひとつのチームとしてプレーする。今回選んだオフェンスの選手は、Jリーグで最近調子のよいチームから選んだのであって、個人で選んだわけではない。もちろん、Jでいいからといって、そもままカメルーンに通用するというわけではない。しかし真剣勝負で、日本の力を測ることができる。もっとも、新しい選手といっても、初めて呼ぶ選手は大久保だけだ。今ここで、私が彼らに何を期待するかと話すと、余計なプレッシャーを与えてしまう恐れがある。普通の状態で、ノーマルなプレーをしてほしい。ただでさえ相手は強いのだし、独りでプレーするわけでもないのだから。
――アジアカップで戦った相手よりも強いチームと対戦するとなると、守備の時間はおのずと長くなることが予想される。しかし、今日の練習ではアジアカップのときよりも、さらに攻撃的な練習をしていたように見えたが
それは見方による。つまり攻撃の練習をしているように見えて、実は、守備の練習にもなっていることに気付いただろうか。今日は、DFを不利な状況に追い込んで練習していたことに、気付いていただろうか。攻撃の練習に見えていたかもしれないが、実は守備の練習だったわけだ。つまり、(相手の)攻撃が圧倒的な状況にあって、何ができるかを試してみたかった。カメルーンがノーマルにプレーするならば、(カメルーンの)攻撃が数的優位を作りながらボールを運ぶことが多くなるだろう。そこで(日本の守備陣が)何ができるか。
攻撃については、今回招集した選手はそれぞれ異なるタイプの選手。特徴も違うし、アイデアも違うし、クラブも違う。そういう選手を呼んで、興味深い結果が出ればいいと思う。今日の練習では、DFがそれぞれよくやったと思うが、明日の試合でも、今日以上に頑張ってほしい。現代サッカーの潮流では、トレーニングで実際(の試合)に近いシチュエーションを作ってやることが大事だ。だから、理想的なトレーニングということで、もっと理想に近づけるなら、日本にエトーくらいのFWがいて、エトー対策の準備ができればよかったのだが。しかし、われわれの練習でエトーを借りてくることはできない。
――その具体的なエトー対策は
エトー1人を相手にするのではない。カメルーンというチームを相手にするのだ。彼1人で、こちらが11人ならいいのだが。カメルーンはコレクティブ(組織的)なプレーをしてくるだろう。こちら側が、フルタイムでマンツーマンの守備をするわけにはいかない。もしそれができたとしたら、エトーに仕事をさせなくするわけで、お客さんはスペクタクルなシーンが見られなくなる。せっかく日本に来てくれたのだから、彼らしいプレーをしてもらった方がいいだろう。明日はスペクタクルな試合になるだろう。楽しみにしてほしい。
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