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キリンカップモンテネグロ戦後 オシム監督会見 その1

 質問をどうぞ。

――テレビでのインタビューでは、「いいプレーをする時間帯もあったが、個人プレーに走る、不満がある」とおっしゃっていた。監督の望むサッカーが90分間できていないのか?

 選手たちは、私が何を望んでいるのか完全には理解していないので、常に私が望むようなプレーができているわけではない。しかし、それは偶然の結果ではない。そのためには、細かいことだがたくさんの事柄を修正しなければならない。こういう試合では、良い点もあるが、それについて話すよりは、今後何を修正すべきか、悪かった点を話す方が将来のためになる。そういうことが、たくさんあったから私は満足することができない。
 例えば個人的な目的によるプレー、ミスをしないように安全策をとったプレー、試合の中で自分だけが目立とうというような個人プレー、さまざまなことがある。もちろんミスはたくさんあったし、ラッキーな面もあった。客観的に見て、モンテネグロにもチャンスがあった。PKもあったが、彼らはそれを得点にはつなげることができなかった。軽率な時間があったことへの罰を、本来ならPKによって与えられるべきだったかもしれない。モンテネグロのPKは、難しいプレーから生まれた。しかしそれについての細かい話は、皆さんにではなく選手に直接話す。そうした問題を除けば、内容は悪くなかった。勝ったという結果どおりの内容だった。
 ひとつ気になるのが、終了間際で苦しんだこと。相手は焦らず、落ち着いていた。フレッシュな選手を次々に投入してきた。そして中盤の構成力を高めて勝負をかけてきた。幸い、われわれのゴールの近くではなかったが、彼らが中盤を支配して、1対1の勝負でほとんど向こうが勝っていた。私にとってモンテネグロはなじみのある国だから、モンテネグロという日本人にとって存在していることも知らないような国が、技術の高い選手をそろえているところを目の当たりにできたことは、うれしく思う。彼らはもう少し効率的なプレーができる。気持ちが強すぎたのだと思う。ある程度、時間が経過すれば、何試合か重ねることによって経験も備わって、いいチームになると思う。あらかじめモンテネグロの記者のためにも申し上げておく。

――個人プレーということだが、個人でドリブルで勝負するときは、そうすべきだと思うか?

 そうしてもいいのだが、タイミング、時間帯、そして目的がよくなかったのだ。タイミングが選手のプライベートな要因で決められたことがあった。チームとして前進している時間帯に、チームのためでなく個人のためにボールを使う。例えばシュートして得点する、あるいはナイスパスを出す、あるいは競技場の大画面に自分がアップで映りたいとか、あるいは試合後に自分のユニホームを振り回しながら競技場を一周するとか――。それもサッカーの一部ではあるのだが、そういうことはチームのためにならないと選手には伝えてきた。人気取りの競争では、選手の方が私より勝つだろう。日本はスター選手、個人で目立つ選手が人気を集める国だから。しかし、それではサッカーは前進しない。個人プレーをうまくできるのがスター選手。まあ、私も好きなのだが(笑)。しかし、そこで試合に負けて、私のクビが飛んでしまっては、どうしようもない。

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